「くらしのきほん」「箱庭」「灯台もと暮らし」。3媒体で始まった新しい試み「スチーヴ」の勉強会が、2016年9月14日に中目黒のRIDE MEDIA&DESIGNのオフィスで開かれました。
これまでスチーヴは、4月1日にお披露目イベントを開催し、5月1日に公式ティザーサイトをオープン。9月1日には、3媒体によるオリジナルコンテンツの配信を始めました。
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今回の勉強会は、灯台もと暮らしを運営する会社、株式会社Waseiの代表・鳥井によるスチーヴの概要説明と、くらしのきほん・松浦弥太郎さんのお話を中心にお送りしました。この日の様子を、読者のみなさまにも少しだけお裾分けします。
この日のプログラム概要
18:00~18:15
スチーヴとは?(15分)
18:15~18:30
概要説明に関する質疑応答(15分)
18:15~19:30
くらしのきほん・松浦弥太郎さんによるメディア勉強会(45分)
19:30~20:00
質疑応答(30分)
20:00~21:00
懇親会(60分)
スチーヴとは?
(以下、鳥井弘文)
僕からは15分ほどお時間をいただいて、スチーヴのお話をさせていただきます。
スチーヴとは何かというと「暮らしのプラットフォーム」です。くらしのきほんさん、箱庭さん、うちの灯台もと暮らし、この3媒体で発案しました。僕ら3メディアで「これからのメディアについて、ユーザーがうれしいと思ってくれることってなんだろう?」というお話になったときに、暮らしのメディアがたくさんあって、それらを横断して読むことができたら楽しいよねという話になったんです。
始まりはこの3つのメディアなんですけれども、スチーヴは、これから「暮らし」や「ライフスタイル」をテーマにしたメディアを100集めたいと思っています。メディアというのはウェブメディアだけではなくて、個人として情報発信している方々も含めます。
スチーヴは、顔の見える信頼し合った友人同士が「今日はこんな記事つくったよ」と、コンテンツを無地のスクラップ帳に貼っていくようなイメージです。書き手が誰だかわからないとか、ウェブ上に既にある情報を集めるキュレーション記事のようなものではなくて、思いのつまったものを集めていけたらいいなと思ってやっています。
ここを見れば日本のライフスタイル、またはライフスタイルメディアのことが、すべてわかるものにしていきたいんです。将来的には、日本の方だけではなくて、海外の方にも読んでもらえるメディアになっていけたらいいなと思っています。
競争ではなくて、共存できるように
プラットフォームとしての機能と同時に、集まったメディア同士でも交流を深めていきたいなと思っています。たとえばライティングだったりとか、編集だったりとか、写真のスキル、ウェブメディアの場合だったら、デザイナーやエンジニアが担当する部分のスキルとかそういった様々なノウハウを、定期的な勉強会を開催して、共有して、一緒にコンテンツのクオリティを上げていけたらいいなと思っています。
その狙いは、競争ではなくて、メディアの共存です。今はどうしても、メディア同士が競っている状況があると思うのですが、そうではなくて、一緒に支え合って、業界全体を底上げしていくことができるような方針で進めていきたいです。
ところで「『スチーヴ』という言葉ってどういう意味?」って思っている方もたくさんいると思います。どんな思いが込められているんだろう?という疑問にお答えしたいのですが、特に意味はないです(笑)。
「ひとの名前のような、スチーム(あったかい蒸気)のような、犬の名前のような、先生の名前のような、あだ名のような」とスライドに書きましたが、そんな感じです。何か温かみのある言葉を選びたいよねという話で、こんな名前を付けました。
逆に言えば、スチーヴでどんなことを仕掛けていくのかというのは、まだこれくらいしか決まっていません。これより先は、ユーザーの方や参加してくれるメディアの方々と一緒に考えていければいいなと考えています。今日の勉強会も、そのひとつとして捉えています。
最後に改めて、スチーヴの3つの軸を振り返りたいと思います。
ひとつ目は「プラットフォーム」です。たとえば今日集まってくださったみなさんのメディアの記事が読めるようになったりします。ふたつ目は、スチーヴのオリジナルコンテンツを配信していきます。最後は、勉強会を中心とした各種イベントの開催です。
今日は松浦さんから、編集者目線のお話をしていただくのですが、今後はたとえばカメラマンやエンジニアの方にお話をしていただく機会もあるかもしれません。それはスチーヴ内の各メディアの方から登壇者を立てることもあれば、外部講師の方をお招きして、開催することもあるでしょう。
最後にひとつお願いです。みなさんにも一緒にスチーヴを盛り上げて欲しいなと思っています。参加していただけると、スチーヴ内で記事を公開できたりとか、勉強会に参加できたりします。一緒に業界を盛り上げていくことができて、スキルアップできたら嬉しいですね。
明日のための、その1
鳥井のお話の後、松浦弥太郎さんから、『暮しの手帖』編集長時代で学んだこと、気づいたこと、そしてくらしのきほんをつくるにあたって、重視している視点など、様々なことをお話していただきました。
「メディアをつくる上で、気付きは膨大にあるのですが、じつは誰かに話す機会がなかなかなかったんです。それを必要としてくれているひとたちと、面と向かってコミュニケーションを取る機会ってありそうでないんですね」と松浦さん。
雑誌不況、出版不況と言われるようになった昨今。近しいテーマの雑誌が休刊すると、横のつながりが薄いゆえに、マーケットがどんどん小さくなっていってしまう状況に、松浦さんは違和感を覚えていたそうです。
「たとえばある商店街で、一つのお店が潰れたときにやっぱり残念に思うし、潰れる前にもっとみんなで助けることができなかったのかとか、情報共有できなかったのか、と思うんです」(松浦さん)
スチーヴをつくろうと思ったきっかけのひとつは、こうした横のつながりを、ウェブメディア同士でつくりたいと思ったから。
スチーヴというメディアを使って、自分が知っていることをシェアしたり、やっていることをみなさんと話したりして、それぞれのメディアをつくっているひとたちが大切にしていることを教えてもらいたい。松浦さんは、勉強会に集まった方々に、そう語りかけました。
勉強会は、松浦さんがつくったスライドに沿って進行。
「僕らにとって大事なのっていつも“明日”なんですよ。僕らはいつも明日のことを考えていて、希望を捨てちゃいけないと思っている。だから、『明日のための、その1』というタイトルにしました。これを人前でお話したことは、あまりないように思います」(松浦さん)
たっぷりと1時間程お話をうかがった勉強会。松浦さんがメディアをつくる上でとても大切にしている、特別な心がけを聞かせていただきました。
どんな内容かは……秘密です。スチーヴ勉強会に来てくださった方にだけ、お教えできたものばかりでした。来られなかった方、ごめんなさい!
勉強会後には懇親会を開催
松浦さんのお話のあと、集まったみなさんで懇親会を行いました。
参加された方々の感想
暮らしの手帖大ファンのおばあちゃんのために、松浦弥太郎さんのサインいただきました。カラフル色鉛筆がナチュラルに出てくるなんて…素敵すぎる…というかイキナリ不躾なお願いに爽やかに優しく応えて下さった松浦さん神様#スチーヴ pic.twitter.com/Vg1m7JeAfn
— 戸田江美@熊野前カフェこひきやで個展 (@530E) 14 September 2016
素敵な時間だったなあ。 #スチーヴ
【スチーヴのこと】それは少しずつかたち作られてきた – Archi.etchttps://t.co/pxGZPoYon1 pic.twitter.com/wdl4ImCiSl— タナカユウキ (@y_tanakarchi) 14 September 2016
松浦弥太郎さん曰く、『どんなことも接客のプロになるのが大切』…とても勉強になる勉強会でした。#スチーヴ pic.twitter.com/wHvghyZLx1
— ナカムラクニオ(6次元) (@6jigen) 14 September 2016
松浦弥太郎さんのお話胸に響くものばかりでした。メディアをやることへの覚悟を見せていただいた。#スチーヴ pic.twitter.com/xlEKAvBoOT
— 星 文香 (@hoshichan106) 14 September 2016
ブログ更新! #スチーヴ/ “「スチーヴ」の「勉強会」の感想。” https://t.co/GaEPa2TzgT
— 下津曲 浩 (@shimotsu_) 15 September 2016
スチーヴでは、ご意見、おたよりをお待ちしております。
そして次回のイベントは、スチーヴのサイト、もとくらでも告知予定です。お楽しみに!
- ご意見・ご質問をお聞かせください。|スチーヴ
お話をうかがったひと
松浦 弥太郎(まつうら やたろう)
「くらしのきほん」主宰 / エッセイスト
2006年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年4月にクックパッド(株)に入社。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。
松浦弥太郎instagram/松浦弥太郎の『続・くちぶえサンドイッチ』
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